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日本と韓国の国を越えた業務提携の裏側を代表に聞いてみた!

LAPRASは2023年11月に300万人が利用するDX人材領域でNo1の韓国のHRテック企業である「Wanted Lab.inc」の日本法人「WANTED JAPAN」と業務提携をしました。

スタートアップでは重要なパートナーシップ。今回、LAPRASがどうして韓国のHR企業と手を組むことになったのか、提携までに何があったのか、両社の
代表にその裏側を直撃しました!(以下、Wanted LabはWantedと表記)

左:LAPRAS株式会社代表取締役 CEO 染谷健太郎 右:Wanted JAPAN株式会社 代表取締役:姜哲浩(カン・チョルホ)氏

<プロフィール>

WANTED JAPAN株式会社 代表取締役:姜哲浩(カン・チョルホ)氏

韓国生まれ。2002年に来日し、20年以上日本に滞在しながら、インターネット広告を中心にクライアントのDX課題を解決するためのソリューション開発、事業開発、クライアント営業、パートナーシップなどをリード。Yahoo Japanにてプロダクトマネージャー部長やパートナーシップマネージャーとして従事した後、Googleにてパートナーシップマネージャー for デジタルエージェンシーを務める。デジタル広告での経験を元に、人材がもっと活躍することで社会を変えていきたいとWANTED JAPANにジョインし、HR業界へ。

LAPRAS株式会社代表取締役 CEO 染谷健太郎

2009年に東京大学文学部を卒業し、株式会社リクルートジョブズに入社。主に新規事業開発を担当し、複数のSaaSサービスなどの新規サービスの立上げ・推進に、コアメンバーとして関わる。担当サービスにて「日本HRチャレンジ大賞人材サービス優秀賞」や「グッドデザイン賞」を受賞。2018年1月よりLAPRAS株式会社のプロダクトマーケティングマネージャーとしてジョイン。2022年2月、代表取締役 CEOに就任。


出会いのきっかけ

ー LAPRASとWantedが出会った経緯を教えていただけますか?

染谷さん:はじめにWantedさんの名前を聞いたのは、LAPRASの投資家さんからでした。韓国の企業から日本企業との提携の話がありLAPRASに興味を持ってもらっている会社としてWantedさんを紹介されたんです。そのあと、2023年6月のIVS KYOTOでカンさんとは別のWantedの方とお会いしたのが最初の出会いでした。

それと並行して、カンさんが日本法人の代表になられて、カンさんからメールもいただいたこともあり、カンさんとお会いすることになりました。

カンさん:実は、私は涙を流しながらLAPRASさんと会いました(笑)
Wantedは2016年に一度日本に進出してうまくいかなかった経緯があります。私の前任の代表の時でしたが、その時は韓国のWantedのやり方をそのまま日本に入れようとして苦戦していました。
そのため、私が日本の代表になってからは、日本のパートナーとの協業で事業拡大を図る方針にしました。

そのパートナー探しをしていた際に、Wanted本社のVCが過去に会ったことのある日本のHR企業のリストがあって、その数十件のリストの1社1社にメールを送って行ったんです。Wantedは日本ではほぼ知られていないので、他の会社はほぼ返信がありませんでした。でも染谷さんだけは返信をくれて、会ってお話することになりました。

ー 最初に会って話をした時の印象はどうでしたか?

カンさん:これまで会って話をして好意的に受けとってくれる人はほとんどいなかったので、今回も不安でした。正直またダメなんだろうなとも思っていました(笑)
でも、Wantedの紹介をして、日本でどうしていきたいのか、HR業界をどう変えていきたいのかを話していくと、染谷さんも前のめりになり二人で実現したい世界観を一緒に語っていました。これはいける!と思いましたね。

染谷さん:カンさんの話を聞いてて、ワクワクしてきたんですよね。機能を売り込むとかそういう話ではなくて、社会を変える大きなことを目指しましょうよ!って言われたのが率直にすごいなと思いました。

ー 初回のミーティングが提携する決め手になったということですか?

カンさん:そうですね。合意するということは言ってはいませんでしたが、目指したい未来や世界観が共有できたのでお互いにいけるなっていう感覚を掴んだ気がします。

染谷さん:
私もカンさんと同じ感覚でした。あと、Wantedさんがすでに提供されているものが、LAPRASが目指しているものを実現されていたんですよね。
LAPRASでもこんなことできたらいいよね。って過去に言っていたことをWantedさんがすでに韓国でサービスとして提供している。LAPRASよりも先に行ってるからこそ一緒に組む価値があるんじゃないかと思いました。

Wantedとはどのような会社?

ー Wantedさんすごいですね。そんなWantedさんはどのような会社なんですか?

カンさん:はい、Wantedは2015年に創業した韓国のHRテックのスタートアップです。創業後6年で韓国で上場しました。
Wantedは、企業と求職者をマッチングする採用ビジネスを展開していて、マッチングが成功した際に報酬をいただく成功報酬型で事業を展開しています。

Wantedはの特徴は、候補者が転職に合格する過程のデータを収集し、生そのデータを元にして生成AIを活用して、転職したい候補者の合格率を高めるための支援をしています。例えば、面接で最大限自分の魅力が伝わるようにコーチングする機能や職務経歴のコーチングです。一般的なコーチングツールと違うことは、あくまで合格するためにどのようにすれば良いか、データに基づいてフィードバックすることです。

これは企業側にもメリットがあり、その企業やポジションに最適な候補者の方が面接に来てくれて、面接で的確に候補者のことを知ることができます。
結果、企業の採用にかけるコストも減らすことができます。

このようなデータを活用した機能により転職成功率が大きく向上し、2022年度には1万6000人の転職成功を達成しました。高い合格率の結果、採用成功時の手数料は、一般的な金額よりもはるかに低い金額で事業を行っています。

ー データやAIを活用して転職成功率を高めているんですね。今後も転職する人を増やしていくことを目指しているのですか?

カンさん:これまで、データを使い学習することでマッチングの精度を高めてきました。今後もマッチングで多くの方がより良い企業とマッチングすることに取り組みます。しかし、Wantedが目指しているのはそれだけではありません。

韓国の転職活動や採用活動は、昔からの流れでやってきています。同じような黒いリクルートスーツをみんな着ているとかですね。
それをWantedは、転職や採用がもっと楽しいものだというように変えていきたいと思って、採用カーニバルというような楽しいイベントなどを様々実施していきました。さらに、HRパーソンがより活躍できるようなコミュニティ作りまでやっています。今では韓国で最も大きなHRコミュニティまで発展していきました。
このようなHRを取り巻く古い業界のイメージや慣習を変えて、HRの力を底上げすることで社会をより良くしていくこともWantedが目指している大きな目標です。

ー カンさんは2023年3月からWANTED JAPANの代表になれていますが、どうしてHR業界へ入られたのですか?

カンさん:これまでyahoo、googleにて15年以上、デジタル広告業界でサービス作りやプラットフォームや事業開発など一通り経験をしました。デジタル広告業界ではユーザーの行動がデータで見えるようになり、経営の意思決定がデータで行えるようになりましたが、その根幹にはマッチングの技術やノウハウといった経験がありました。この経験を異なる業界でも活かせると思って、色々探していたら、広告業界とHR業界の共通点があることに気づきました。具体的にはマッチングが大事であり、社会のインフラとしての役割であります。自分が好きなTechnologyを最大活用しながら、一人一人の人生に対する可能性を最大化できるHR業界に入りました。

提携を通してLAPRASとWantedが目指す世界

ー それは日本でも似たような状況ですね。提携に繋がったという両社で目指す社会や世界観はどのようなものですか?

染谷さん:今回提携を通して両社で目指す具体的なものは3つです。

  1. グローバル水準に比べて割高な日本の採用コストの是正

  2. 主体的にキャリア選択をする人材がより活躍できる社会

  3. 転職/採用活動をエンターテインメントのように楽しめる社会

両社ですり合わせて共有した目指す世界観

まず目先では日本の市場において企業や転職したい人に向けてサービスを提供していきます。その後は、グローバルで日本と韓国での人材が行き来したりするのようなクロスボーダーなプラットフォームにしていきたいと思っています。

カンさん:現在の社会においては、一つの国の中だけでできることには制限があると考えています。もっと国を越えて人材が流動してチームを組んで社会課題の解決に向かうことが、ブレイクスルーにつながると考えています。

染谷さん:エンジニア領域はすでにグローバルな戦いになっています。アメリカのサービスだと越境フルリモートで世界中のエンジニアをシリコンバレーに集めるものも出てきています。そんな中で時差の問題などもあり、シリコンバレー一極集中ではなく、日本や韓国など東アジアの中心でエンジニアの人が働ける状態を作らないと中長期的には社会は良くならないと思っていまた。なので、国をこえてグローバルでの人材のプラットフォームにしていく世界観にはすぐに共感ができましたね。

ー グローバルでの世界観が共有できたのですね。 一方で、そこまでサービスをグローバルにする必要がありますか?

カンさん:私はこれまで、日本とアメリカ、そして韓国と3カ国でビジネスを経験してきました。その経験からこれからの時代のサービスづくりは、ダイバーシティが重要で、ダイバーシティがないと競争に勝てません。
もはや、ダイバーシティはオプション(選択)ではなくエッセンシャル(必須)になってくると思います。
そのため、グローバルでのHRプラットフォームはダイバーシティを作るベースになるため非常に重要になると思っています。人材がグローバルで流動することで様々な国の課題解決に向けて適材適所で多様性に富んだチームが取り組むことができます。

ー 提携にあたって心配はなかったのですか?

染谷さん:正直なところ心配したところもあったんですよね。前職の時にパートナーシップを組んで新規事業と立ち上げ・推進する経験を複数の事業でやっていたのですが、パートナーシップが崩壊する一番の原因は、パートナーとなる相手から売上を稼ごうとすることなんですよね。両社が常に社会やお客さんに向かっていればうまくいくんですが、ベクトルがお互いに向き出した瞬間にうまくいかなくなるんですよね。その状態にならないかは心配でしたが、カンさんとのコミュニケーションで大丈夫だなって思ったんです。
そう思えた一つは、Wantedさんは本気だと思ったんですよね。カンさんと2回目会った後くらいにすぐに韓国から本社のCEOが来られたんですよね。それで思ったんです。
『Wantedさん本気だなって。笑』
しかも、「トライアルで小さく始めましょう」ということではなく最初から大きな世界観を描いて中長期的に考えていきましょうと。

カンさん:染谷さんと最初に話をした後に、私たちが本気だということを示すためにCEOに日本に来て欲しいとすぐに頼んだんです。それでミーティングが実現して進みました。(CEOが来て、長時間に渡って韓国語と日本語の通訳をしながらミーティングしたのは相当疲れましたが。笑)

でも、そこまでしたのは、LAPRASや染谷さんとだと、今後課題にぶつかったとしても、目先のことにとらわれず、社会課題に向き合って一緒に乗り越えていけると確信したからです。そこがパートナーシップの大きなポイントだと思っています。

ー 二人の出会いから裏で起きていたことまでよくわかりました。具体的に直近では何を提供していきますか?

染谷さん:まずはWantedさんが韓国で提供している候補者の転職成功率を高めるための機能をLAPRASに実装して日本むけに提供していく予定です。例えば、職務経歴書を選考通過しやすくアドバイスする機能や、面接でうまく伝えるためのコーチングなどです。

できる限り早く提供できるようにWantedさんと現在進めていますので、期待しておいていただければ嬉しいです。


今回は両社の代表に、提携の裏側を聞いてみました。
今後提供されるであろう具体的なプロダクトがとても楽しみです。
LAPRASへ登録いただき、プロダクト提供をお待ちください。

また、スタートアップメディアのBRIDGEさんでも取材いただきましたので、ご参考にお読みください。

今後もWantedさんとの取り組みをBACKOBONEでも追いかけて取り上げていきたいと思います!

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