見出し画像

スタートアップのHRBP(戦略人事担当)になるまでのキャリア

今回はLAPRASで人事、採用、組織づくりを担当している千田さんのキャリアを紹介します。HRチームでは採用・組織づくり・評価制度・社員の育成等の色々な課題に取り組んでいますが、そのチームを束ねるのがHRBPの千田さんです。
人材紹介の営業からエージェント、牧場、アウトプレースメント、人事...という、これまた異色のキャリアを深堀してみましたので、ご自身のキャリア作りに悩んでいる人事担当者の方の参考になると幸いです。

LAPRASでHRBP(ビジネスパートナー)をしている千田です。人事、採用、組織づくりを横断的に担当しています。2018年の頭にLAPRAS(旧scouty)に入社をして、そこからからずっとHRとして採用や組織づくり全般に関わっています。

スクリーンショット 2021-11-17 16.41.34

幼少期からいわゆる「オタク」で、小学生の頃から友人たちと4〜5人で家の中でパソコンのゲームやTRPGばかりやっていました。中学生になると、親に「テストで○位以内に入ったらパソコン買ってくれ」ということを交渉し、勉強してパソコンを買ってもらって。

当時はまだインターネットが無料じゃなかったので、夜の11時から繋ぎ放題のテレホーダイというサービスがあり、それで夜通しずっとネットサーフィンやUOというオンラインゲームをやっているという、中・高校生でした。生まれは青森なのですが、秋葉原に通えるという理由で東京に出てきました。


人材紹介から人事担当にたどり着くまでの、紆余曲折

画像2

キャリアとしては最初から人事ではなく、新卒は広告業界向けの出版社で、代理店やデザイン事務所向けのエージェントをやっていました。当時、インタラクティブ広告やコミュニケーションデザインの分野に興味があったことが入社理由です。

その後、リクルートに転職した先輩から「年収が倍になる」と誘われ、リクルートエージェントに転職しました。営業として成果が出ていたので、自分より優秀な人がいる環境に行きたいという気持ちもありました。

リクルートエージェントに転職した後も約1年間、毎月連続で売上達成するなど成果が出ており、正直イキっていた嫌な奴だったのですが、関西に転勤してからはなかなか成果が出ませんでした。今振り返ると、「自分はやれるんだ」みたいな気持ちがあって学ぶ姿勢がなく、関西に噛み合ってなかったと思います。

いろいろあってリクルートを辞めてから半年くらい京都の牧場にいたのですが、東京に戻ろうと考えた時に、リーマンショック後で非常に景気が悪かったので、当時流行っていたアウトプレースメントのコンサルティング会社に就職しました。(アウトプレースメントとは、人員削減をする企業の依頼を受けて、解雇する従業員の再就職を支援するビジネスのことをいいます。 )
今までエージェントとして採用に関わる仕事をしていたので、次は退職に携わる雇用調整の仕事をやってみようと思ったのがきっかけです。

そこでの経験は、人事の仕事にも繋がる部分が多かったと思います。総額人件費の考え方や、会社がどのような意図を持って雇用調整を行うか、解雇に関連する法律であるとか。人材エージェントとして、雇用に関する法律は知識としては持っていたのですが、実際に企業側の立場から見ると、また違った視点が見えてきました。

雇用調整の現場を見て感じた「会社の責任」

画像3

アウトプレースメントの仕事を始めたときは20代中盤だったこともあり、自分に自信もあったので、「仕事できない人がリストラにあうのはある意味当然」だと思っていた部分がありました。

でも実際にリストラを仕事として始めてみると、見え方が変わっていった部分は多くあります。一番印象に残っているのは、とある地方の上場企業で、50歳過ぎて収入も1000万円を超えるようなおじさん達の、転職先を探すお手伝いをしたプロジェクトです。

当時は仕事できない人がリストラされていくのはある意味しょうがないと思っていましたが、実際にそのおじさんたちと接してみると、真面目ですごく人柄のいい人たちだったんです。コンサルティングの中で今までの経歴とかを聞いていくと、すごく能力が高い訳ではないかもしれませんが、この人たちはその会社のために、何十年と尽くしてきたんですね。

ただ、会社の状況がガラッと変わった時に、必要とされる能力を持っていなかったり、会社自身が人員削減をしないといけない事情があって「辞めてください」と。「あなたのためを考えたら、転職したほうがより活躍できる環境がある」という話をされて、年収300〜400万円くらいの工場へ転職していくのを見て、考えることがありました。

地元で尊敬される会社に何十年と勤めていて、家族とか周りからも尊敬されていた人たちが、真面目にやっていたけど状況が変わったからといって転職しなくてはいけない。そうなった時に、経営者とか人事って責任は取らないんです。「あなた優秀ですね」って採用しておきながら、現場にマネジメントを丸投げして、現場で活用できないとなったら「じゃあ辞めてください」みたいな。

「経営者が危機感をもって先を見据える」とか、「時代の変化に適応できるように人事が能力開発をする」とか、そういうことを事前に会社がやるべきだった、できていたら違ったんじゃないか、というのは結構考えました。
その視点は今の自分の仕事にも生きていると思います。

辿り着いた人事・採用ポジションとフリーランス生活

画像4

その後、リストラする会社を何社か見ていくと、リーマンショックで景気が悪いなか、GoogleやAppleのサービスはどんどん日本に入ってきて、日本から世界で戦える会社がないんじゃないか?という気持ちになりました。オタクだったのでニコニコ動画が好きだったこともあり、ドワンゴはユニークだし、色んなご縁が重なってドワンゴで人事職に就く事になりました。

ここが、天職に巡り会うきっかけになったポイントだと思います。

エージェントの時はもちろん採用の部分だけにコミットしますが、人事として会社で働く事になり、最初は中途採用から入って、新卒採用も任され、メンタル失調者のケアなどもやりました。その時は制度設計は担当していなかったので、入口の部分と出口の部分をやっていた感じです。

当時は正直「人事っていいな」とは思わなかったですね。とにかく会社からくる色んなオーダーに応えることが大変で、公認会計士を新卒で採用するとか、100人単位の採用が必要だったり、パートタイムで働いてくれるお医者さんを確保してくれだったり...もうとにかく色々な採用要件が発生して大変でした。

いつか独立もしようと思っていたのでフリーになって、人材紹介をやったり、採用コンサル的な仕事をしていました。実際、採用コンサルや人材紹介は実入りが良いビジネスでしたね。

ただ、お金のために仕事してると飽きるんですよね。

独立しても稼げることが分かったので、お金を稼ぐことはいつでもできると感じる様になりました。
今だからできる事を考えたとき、熱意が持てそうだった「良い組織を作る」ためには、ちゃんと会社の中に入った方がいいなと思いました。

そしてその後、企業の人事としてのキャリアを改めてスタートします。

人事と採用担当のポジションの違い

画像5

(ちなみに人事と採用担当って、ぱっと見似てるように感じるますが、違うんでしょうか?という質問に対して)

人事と採用は似ているポジションとして捉えられることもありますが、あくまで採用業務は人事業務の中の一部です。ただ、人事業務の中では採用の部分は切り離しやすいので、採用担当というポジションが語られやすいのかもしれません。

会社としては人員計画の実現には、採用だけではなくて異動や育成等も含めた色々な方法があって、その一つの方法として採用があります。人事は入社後まで気を付ける必要がありますが、採用担当はあまりその後の事に関わらない構造になっている会社もあります。

まずゴールがあって、現状があって、このギャップをどう埋めるのか?

外から見ると、定期的に仕事が変わっているように見えますが、自分の中では繋がっていて。これはゲーマーだからかもしれませんが、仕事もゲームとして捉えている部分はあります。「このステージをクリアしたので、次の手ごたえがあるステージに挑戦する」みたいな感じです。

画像6

ゲーマー的な考え方で「まずゴールがあって、現状があって、このギャップをどう埋めるのか攻略法を探す」という思考を何十年も前からしています。なので、自分が目指すゴールと現状を見比べてみた時に、「こういうチャレンジをしたい」とか「こんなことを実現したい」というものが見つかった時に、それが今の環境の中でできるのであればやるし、できないのであれば転職も含めて外部の機会を視野に入れる形でやってきました。

今だとゴールとしては「自分が専門性を発揮して良い組織を作り、それを再現性のある形にしていきたい」というものを置いています。20代の頃は「社会人として認められるような人になりたい」という目標があり、そのための一つの目安として「20代で年収1000万円稼ぐ」というマイルストーンをおいていました。
20代でマイルストーンは達成できましたが、社会人として認められるような人間というにはかなり未熟だったと思っています。

今の「再現性のあるかたちで勝てる組織を作る」というゴールに対しては、自分のなかでLAPRASの組織づくりは再現性があると考えていますが、LAPRASという会社自体が結果を出さないと「良い組織」「勝てる組織」を作ったとは言えないので、そこまでまずちゃんとやって。そしてその後に何社もそういう会社が作れるようになっていかないと、今のゴールまでは辿り着けないと思っています。

人事としての基礎と千田さんのキャリア

フリーランスで外部から人事コンサルを経験して、「良い組織を作る」経験をするためには会社の中に入った方が良いと考え、株式会社サムライファクトリーに人事責任者として入社しました。

会議室が忍者屋敷という非常にユニークな会社で、そこで人事としての基礎を叩き込んでもらいました。社長が人事出身の非常に仕事ができる方で、「人事として良い仕事をするためには体系化された知識を身につける必要がある」ということは彼に学びました。人事界隈のいわゆる名著や押さえるべき本を一通り読み込んで、人事としての基礎を固める機会になりました。

エンジニアが多く在籍する会社だったので「エンジニアが業務時間中に技術書を読むのは当たり前」という文化があり、人事に関係する書籍を業務時間中に読んでました。業務時間中に専門性を磨くことに理解のある、度量の大きい会社でした。

そこでは、人事制度を一からスクラッチで作る経験もしました。人事制度を過去に何度も作ったことがある社長に、人事制度の作り方のアドバイスや作った制度に対するフィードバックをもらい、人事の「型」のような部分を叩き込んでもらったと恩を感じています。

その後、ENECHANGE株式会社に入社し、そこでも人事制度を作る経験をしました。2つの会社で人事全般について責任をもって経験したことで「ある程度一人でできる」という実感を持ってLAPRASに転職しました。

LAPRASでの組織づくり

人事として複数の会社を経験する中で、「良い組織を作る」ことは組織開発だけでは限界があり、ビジネスをどうやって伸ばしていくのかが重要であると感じていました。加えて、自分が熱を持てる社会的意義や、世の中に与えるインパクトを考えて転職先を選んだ結果、LAPRAS(当時はscouty)に入社をしました。

2018年頭に入社してからは、人事、採用、組織づくりを横断的に担当しています。

また、LAPRASが採用しているホラクラシーという制度を利用してセールスにチャレンジしたり、新事業を立ち上げたりしました。

キャリアのターニングポイント

これまでのキャリアを振り返ると、自分にとってのターニングポイントが3回ありました。それは「ドワンゴの人事部長」「サムライファクトリーの社長」「エネチェンジの会長」それぞれとの出会いです。振り返ると、どの出会いもなかったら今の自分はないと思います。自分にとって新しい視点を与えてもらったので今でも尊敬しています。

僕は「自分は正しい」と思っていますが、一方でそれと同じくらい「自分は正しくない」と思っていて、他人から言われたことや与えられた情報と自分の正しさを等しく比べたいと思っています。そういう意味で、「自分が正しくない」という情報を与えてくれたのが、その3人でした。

また、今でも日常的に専門書を読んでいる理由としても、自分の悩みや知りたい情報を先に研究してる人とがいるのであれば、その人たちの知見を学んでから、もう一回自分の正しさと比べて考えたいという側面があります。

世界中の人が「人とは」とか「組織とは」みたいなことをたくさん考えていて、研究しているので、そういった先人の知見を生かして、自分の成長に繋げていきたいと思っています。

キャリアを自分で選んで行く生き方

(「これからどういったキャリアを描いていくのか?」という質問に対して)

僕は、人事はプロフェッショナルサービスだと思っています。経営者の組織づくりに対する希望と、従業員が幸せに働くという大事な部分の、間を繋ぎ実現するための専門知識を持ってることが、人事には必要だと思います。

僕は、従業員が幸せに働きつつ、事業が勝てるような組織になるために、専門的な知識を提供できる人事でありたいと思っています。また、たまたま上手く行ったのではなく、他のチームや組織であっても従業員の幸せと事業の勝利を再現できるような「再現性」を作って行くことが、非常が重要だと思っています。

(「チャレンジを続けるモチベーションは何か?」という質問に対して)

シンプルに「死ぬときに後悔したくない」と思っています。後から後悔したくないので、描いた理想に向けてやれることをやって、そこでやりきってもダメなら転職も含め一歩踏み出す。それを繰り返すことで、描いた理想に近づきながらも、後悔しない選択肢を選んできているつもりです。

また、「自分のことを幸せにできるのは自分しかいない」と思っています。自分を自分で幸せにするために、後悔しないように、自分で道を選んで進んで行くのがモチベーションかもしれません。


今回はLAPRASの人事の千田さんにお話を伺いました。
様々な企業での人との出会いがターニングポイントになったと語ってくれました。自分の実力を過信せず、日々、専門書などを読んで学ぶ姿勢もぜひ見習いたいですね。

 また次回、別のLAPRASメンバーのキャリアをお届けできればと思います。ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

=========
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
今後もLAPRAS BACKBONEで発信を続けていきますので、是非アカウントのフォローや記事への「いいね」をよろしくお願いします。

<この記事を読んだ方へのおすすめ記事>

<LAPRASのサービス紹介>



この記事が参加している募集

人事の仕事

みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!

noteの更新情報やお知らせ等を発信しています。是非、フォローをお願いします。